いきなり「意味を考えよ」といっても意味が分からないでしょう。説明は後回しにして、まずはいくつか例を出したいと思います。
たとえば、化学の「H2SO4+2NaOH→Na2SO4+2H2O」などの酸・塩基滴定でおなじみの式
a×c×(v/1000)=b×c'×(v'/1000)
(a,b:酸・塩基の価数、c,c':濃度、v:体積[ml])
について考えてみましょう。
化学をやった人なら、お分かりの通り、左辺は酸が放出するH+のモル数、右辺は塩基が放出するOH-のモル数ですから、式全体として
(酸の放出するH+のモル数)=(塩基が放出するOH-のモル数)
という式になり、H+とOH-が等量なんだな、ということが分かります。
これを、一部の参考書にあるように
a×c×v=b×c'×v'
と書いてしまうと、モル数関係という式の意味が失われてしまい、無味乾燥な記号の羅列となってしまいます。
これは心理学的には精緻化リハーサルにあたるものと考えられます。
上のように、式を「意味」で覚えておくと、非常に応用が利きやすく、また複雑な問題にも対処ができるようになります。
逆に、式を式のままで覚えていると、少し公式から外れた問題になるともうお手上げとなってしまいやすいです。
この式を意味で覚えるためには、式の意味を日本語で言ってみるのが有効です。
たとえば、上の例であれば「酸の放出するH+のモル数)=(塩基が放出するOH-のモル数」が式の意味になります。
このように意味で覚えるというのは、理系科目全般に使える方法ですので、ぜひトライしてみてください。